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ケンちゃん

中学、高校と一緒だったケンタロウくん。

私の人生の中で初めて私のことを好き、といってくれた男の子だ。

ケンタロウくんはとっても個性的で面白くて誰からも好かれていて、時には熱血漢。男くさい男の子だった。

ケンタロウくんは当時の男の子にしては珍しく、かなりストレートに愛情を表現してくれた。

当時の私は・・・若かったんだよねぇ・・ケンタロウくんの良さがわからなくて、気持ちに応えることはできなかった。

さらに思春期真っ只中だったこともあり、どう接していいのかわからず、冷たい態度をとってしまい、彼を避け、ひたすら逃げていた。

クラスが離れて疎遠になってからは、連絡をとることもなく、思い出すこともなかったのだけど、最近、古い感情が奥底からでてきているような感覚があって、ケンタロウくんのことも思い出した。

出会いは必然。
それぞれの出会いでお互いが必要な役割を演じている・・

そう腑に落ちることもあり、理解しているようにも思うけれど、
私はまだ、自分の過去の行動に対してそう割り切れるほど楽観的になれていない。

せめてあのとき、私は逃げずに誠意をもって自分の気持ちを伝えるべきだったな。

少し前まではこういう感情がでてくると、自分を責め、自虐ループに入り込んでいたのだけれど、今はもう、大丈夫。彼から何を教えてもらったのか・・そう考えられるようになった。

私はケンタロウくんから教えてもらったのだ。
何を与えたわけでもないのに好きになってくれる人がいるということ、そして感情をぶつけられたときは、誠意をもって受け止め、返してあげることがその時の役割だということを。

ありがとう。

自分のどんな行動で誰がどう思うか、なんて自分にはやっぱりわからない。
今日も、無意識に誰かを傷つけているかもしれない。

でも、それを気にして生きるより、自分に、周りに誠意をもって精一杯生きていれば、それでいいのだろう、と思う。

何の因果か、私は結婚してケンタロウくんと同じ名字になった。

そして・・次男はケンちゃん、になった。(ケンタロウ、ではないけれど)

どこかで人生を謳歌しているであろうケンタロウくんにエールを送りつつ、今日も穏やかに誠意をもって一日を過ごそう。